最近少しづつメディアでも取り上げられており、目にする機会が増えてきた「キャリアブレイク」という言葉をみなさんはご存知でしょうか?
従来は、キャリアとキャリアのつながりが中断し、仕事をしていない無職の期間を「空白期間」、「ブランク期間」という形でネガティブな捉え方が日本ではまだまだ多いです。
無職の期間についてあなたはどう捉えていますか?
「無職」や「キャリアブランク」とのようにネガティブなイメージがついているものではなく、逆に、ポジティブに捉えることができるのではないか?
仕事を離れている期間に、「ありたい自分」を取り戻すために休んだり、模索したりするポジティブな期間として捉えることもできるのではないか?
そのような背景から、海外では一般的な「キャリアブレイク」という言葉が注目され始めています。
この記事では今注目され始めているキャリアブレイクに関する様々なことを紹介します。
キャリアブレイクとは
先ほどもご紹介したように、キャリアブレイクとは、
一般的には、休職や離職など仕事やキャリアを「一時的に中断する」無職の期間を指します。
キャリアブレイクをする理由は様々で、その期間の時間の使い方も多種多様です。
例えば、自己研鑽、出産、育児、介護、旅行、病気の治療や療養、または単純にリフレッシュするためなどが理由として挙げられます。
日本ではキャリアブレイクの概念は徐々に浸透しつつありますが、まだ一般的ではありません。しかし、近年では働き方改革の一環として、フレキシブルな働き方が促進されており、一部の企業ではキャリアブレイク期間を設けられるような制度が導入されています。
日本と海外の違い
欧州やアメリカでは一般的な文化として根付いているようです。
中でもベルギーでは、「キャリアブレイク」(または「タイムクレジット」「キャリア中断」とも呼ばれます)の制度が整備されており、従業員が勤務時間を減らしたり、一時的に仕事を停止したりすることができるそうです。
この制度は厳格に規制されており、状況に応じて政府からの財政支援が受けら、キャリアブレイク後は、元の職位または同様の職位に復帰する権利が保障されるなどかなり整備されているようです。
学術的な研究や書籍について
論文を検索してみると、日本産業カウンセリング研究学会の書誌に2016年に発表されている「キャリアブレイクを経験した女性の変容」(著者:片岡亜紀子)の中で言及されていました。以下、論文内で定義されている文言です。
本研究では,キャリアブレイクを「育児,介護,体調不良,転職準備などあらゆる理由で,職業もしくは所属する会社から離職している期間であり,休職は含まれない。ただし,離職期間の経験が自己効力感を高めるものであり,その後のキャリアに役に立ったと本人が主観的に認知している場合に限る」と定義する 。
「キャリアブレイクを経験した女性の変容」(著者:片岡亜紀子)より引用
自己効力感が高まり、その後のキャリアに役に立ったという主観を重視した定義になっているようです。
追記:上記の論文を発表した法政大学大学院の片岡氏、石山氏と、キャリアブレイク研究所の北野氏3名による共著で、キャリアブレイクに関する新しい書籍が登場しました。
その中で、キャリアブレイクの定義に関して新しく下記のように定義されています。
キャリアブレイクの書籍本について興味があるならこちらの本がオススメです!
レビュー記事も書いてますので参考にしてください。
キャリアブレイク研究所について
キャリアブレイク研究所は、一時的な離職・休職を肯定的に捉える「キャリアブレイク」を文化にすることを目指している団体です。代表理事の北野貴大氏が、キャリアブレイクを文化にするために積極的にさまざまな活動をされています。
同研究所のウェブサイトやSNSでは、キャリアブレイクに関する記事や情報が公開されています。例えば、同研究所のアニュアルレポートの中で、キャリブレイクについて下記のように紹介されています。
キャリアブレイク中に何する?
キャリアブレイク中に何をするか?どのように過ごすのか?
キャリアブレイクは、「ありたい自分」を模索する旅とも言われています。
この旅は、誰かが決めるものではなく、あなた自身のものであなたがやりたいと思うことを自由にすることが大切です。
自分が人生を生きる上で、大切にしたいことは何か?楽しいと思えることは何か?といった内省をゆっくり繰り返すことでキャリアブレイク後の「ありたい自分の姿」が徐々に明確になります。
自由で何をしても良いのですが、他の人はどういう過ごし方をしているのか気になりますよね。
フレッシュや自己啓発、旅行、学び直しなど、自分の目標に沿った活動を行うのがおすすめです。
また、スキルアップや新しい分野の勉強に時間を使うことも有意義でしょう。
参考までに私がキャリアブレイク中に過ごして良かったことについて記事にしていますので詳細はこちらをご覧ください。
キャリアブレイク研究所のnoteでは、仕事を離職してから、再び仕事に戻るまで「5つの段階」があるということも紹介されています。
キャリアブレイク中のお金はどうする?
キャリアブレイク中は収入が途絶えることになるので、生活費を貯金から切り崩していくのが一般的です。
キャリアブレイクとお金に関しては下記の記事で詳しく紹介しています。
キャリアブレイクの期間は?
キャリアブレイクの期間は、目的や個人の状況によって異なります。一般的には数か月から1年程度が多いですが、長すぎると復帰が難しくなる可能性もあるため、計画的に決定することが大切です。
キャリアブレイクの期間については、日本のアンケート調査結果など以下の記事で詳しく紹介しています。
キャリアブレイクが注目されている理由
キャリアブレイクが注目され始めた背景には、2017年ごろに話題になった「LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略」の中で人生100年時代という概念が提唱されました。その後、2022年ごろから「リスキリング」とい概念が浸透してきた中で、長い人生の中で、一つの会社で生涯勤め続ける以外のキャリアがより広く意識されてきています。
また、会社側としても終身雇用の維持が難しくなっていたり、雇用される側も情報が溢れるようになった中で、より良い条件やワークライフバランスを求めて転職をすることが当たり前になってきているという流れもキャリアブレイクが注目され始めている理由のひとつです。
長い人生の中で、どこかで自分のキャリアを見つめ直す期間が必要となる中、キャリアブレイクという選択肢が注目されてきたのは必然なように思います。
年代別のキャリアブレイク
キャリアブレイクという概念は、日本では2022年ごろから浸透し始めたので、若い人たちの間で注目されることが多いですが、若者だけの文化というわけではありません。
人生100年時代、ありたい自分を探すというのは年代問わず大切なことだと思います。
20代でのキャリアブレイク
20代でのキャリアブレイクは、転職などの求人も豊富なため、柔軟なライフプランを描くための時間を得られることが大きなメリットです。
まだキャリアの初期段階にあるため、新しい挑戦や自己成長に集中することができるでしょう。
また、独身の場合には世界を旅したり、自由度が高いキャリアブレイク期間を過ごすことができます。一方で、20代前半だと貯蓄などが少なく金銭的な部分で、十分な期間を取れないということもあり得ます。
30代でのキャリアブレイク
30代はキャリア形成の重要な時期で、この時期にキャリアブレイクを取ることで、転職やスキルアップ、新しいキャリアパスを模索する貴重な機会を得ることができます。
社会人としての経験も積み、ライフイベント的な変化もあって、一度立ち止まって考える時間は有意義なものです。
これまでガムシャラに働いてきた人にとってはリフレッシュにも役立つでしょう。
私自身は30代のアラフォーでキャリアブレイクを選択しました。
その理由について下記の記事で紹介しています。
40代でのキャリアブレイク
40代でのキャリアブレイクは、家族や経済状況の影響も大きく、慎重に計画する必要があります。しかし、転職や独立など、キャリアブレイクを経て自分の人生のゴールを考え、キャリアの見直しやリフレッシュのために、長期的な視野でキャリア戦略を考える良い機会ともいえるでしょう。
50代でのキャリアブレイク
50代でもキャリアブレイクを取ることは可能です。
定年後のライフプランを考える機会として活用したり、これまでのキャリアを見直すことで、会社に縛られることなく、新たな方向性でライフワークを見つけるを見つけることができるかもしれません。
転職や再就職などは20〜30代に比べると求人数や条件は厳しくなりますが、40〜50代を対象にした転職や独立を目指すキャリアコーチングのサービスなどもありますので、参考にしてみてください。
キャリアブレイクが企業側にも浸透しつつある
2022年にLinkedInはプロフィールの職歴欄に、「キャリアブレイク」という選択肢を追加できる新機能を発表。身内の不幸、介護、旅、新しい挑戦、スキルアップ・自己研鑽など13項目からブレイクの種類を設定できます。
LinkedInによると、世界各国の雇用主を対象としたアンケート調査では、51%が自分のキャリアブレイク中の状況を明確にしている求職者にはコンタクトしやすいという回答結果もあり、キャリアブレイクに対してのポジティブな面も見られたと報告されています。
その他にも、キャリアブレイクという明確な表現こそ使われていませんが、Yahooでは、「サバティカル休暇」、ソニーでは「フレキシブルキャリア休職制度」と呼ばれる長期休暇の制度が存在している企業もあります。
キャリアブレイクに関連したよくある質問
- Qキャリアブレイク中に何をするべきですか?
- A
キャリアブレイク中には、リフレッシュや自己啓発、旅行、学び直しなど、自分の目標に沿った活動を行うのがおすすめです。また、スキルアップや新しい分野の勉強に時間を使うことも有意義でしょう。
以下の記事で実際に私がキャリアブレイク中にやって良かったことなど詳しく紹介しています。
- Qキャリアブレイクのメリットは何ですか?
- A
キャリアブレイクのメリットには、心身のリフレッシュや、新しいスキルの習得、自己成長の機会があります。また、視野を広げることで、新たなキャリアチャンスにもつながりやすくなるでしょう。
- Qキャリアブレイクのデメリットは何ですか?
- A
デメリットとしては、収入が一時的に途絶えるリスクや、長期間休んだ場合のキャリア復帰が難しくなる可能性が挙げられます。また、社会的な所属コミュニティの減少、スキルや人脈の維持が課題となることもあります。
- Qキャリアブレイクにおすすめの本はありますか?
- A
キャリアブレイクを考える際におすすめの本は、下記の2つです。
- 『仕事のモヤモヤに効くキャリアブレイクという選択肢 次決めずに辞めてもうまくいく人生戦略』北野 貴大(著)
- キャリアブレイク — 手放すことは空白(ブランク)ではない石山 恒貴 (著), 片岡 亜紀子 (著), 北野 貴大 (著)
2つともおすすめで、レビュー記事も書いているのでそちらも合わせてご覧ください。
キャリアの不安や悩みを解消するための新しい考え方「キャリアブレイク」の最新書籍レビュー「キャリアブレイク」に関する最新書籍『キャリアブレイク — 手放すことは空白(ブランク)ではない』を紹介&レビューしていきます。 キャリアに関して不安や悩みを抱えているあなたはぜひ読んでみてください。 社会人や学生の方には、一読の価値はある本です。
【書籍レビュー】キャリアブレイクの本を読んでみた。仕事のモヤモヤに効くキャリアブレイクという選択肢 次決めずに辞めてもうまくいく人生戦略 北野 貴大(著)についてレビューしてみました。 キャリアブレイクに関する日本初の書籍です。本書の概要や感想、口コミ、本書がおすすめな人について紹介しています。
もし、質問がありましたらコメントから質問を送付お願いします。随時回答を追加していきます。
まとめ
今注目され始めている「キャリアブレイク」について紹介しました。
実際にキャリアブレイクを検討中の方には下記の記事も参考いただければ幸いです。
私自身も現在キャリアブレイク中であり、新しい挑戦をしているところです。
少しでもみなさんの参考になれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
参考になった、面白そう!と思った方はぜひシェアいただけると励みになります。
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