本記事では、キャリアブレイクのプロセスを解説し、成功と失敗について考察。
さらに、失敗を防ぐためのポイント、キャリアブレイクの各プロセスごとに役立つサービスや情報を紹介しています。
キャリアブレイクのプロセスとは?
キャリアブレイクとは、「今まで中心的に活動してきたキャリアの役割を手放すことによって、新しいキャリアの役割に向けて自分と社会を見つめ直している期間」*と書籍「キャリアブレイク — 手放すことは空白(ブランク)ではない」(千倉書房)で定義されています。*引用:「キャリアブレイク — 手放すことは空白(ブランク)ではない(千倉書房)」
この書籍の中で、キャリアブレイクの共通プロセスとして下記のように表現されています。
キャリアブレイクの共通プロセスは大きく以下の3つに分けられます。
- 自分を見つめなおしたいという欲求が生じるプロセス:入口(きっかけ)
- 自分の見つめなおしを行うプロセス:模索期(準備期間や行動フェーズ)
- ありたい自分への接近をするプロセス:出口(復職、転職、独立などの選択)
キャリアブレイクを始めるきっかけ:入口のパターン
キャリアブレイクを考えるきっかけは人それぞれですが、代表的な入口のパターンをキャリアブレイク研究所がまとめています。
引用:キャリアブレイク研究所note
入口の4つのパターン きっかけ 特徴 LIFE型 出産・育児 一時的に家族等に重点 GOOD型 働きづらい 働き方を模索 SENSE型 文化中毒* 素直で従順
感性があるPOWER型 挑戦 自分の可能性に期待 *文化中毒:多様な選択肢があるにもかかわらず視野狭窄に陥ってしまう状態。
また、書籍「キャリアブレイク — 手放すことは空白(ブランク)ではない」の中では、タイプごとの目的も紹介しています。
休職・離職するのは、色々なきっかけがあります。
もちろん、キャリアブレイクを始めた時、明確な目的がない場合もあります。
キャリアブレイク中の過ごし方:模索のプロセス
過ごし方も人それぞれですが、仕事から離れることで、まずは「休養」する期間を過ごす人が多いようです。
私が参加したキャリアブレイクのイベントで、キャリアブレイク研究所の北野さんが面白い考え方を紹介されていました。
- キャリアブレイク中のみなさん休養期間が大体1ヶ月半くらいの人が多い。
- 仏教の考え方にある四十九日と関係しているかもしれない。
- 四十九日供養の目的は、「故人の安らかな転生を願うこと」と、「遺族の心の癒し」という考え方があり、これまで働いていた自分を供養するには、だいたい四十九日くらい必要なのではないか?
休養した後は、「ありたい自分」を模索する「自分探し」をする行動期間です。
キャリアブレイク後の選択肢:出口のパターン
キャリアブレイク研究所の北野さんが、書籍「仕事のモヤモヤに効くキャリアブレイクという選択肢 次決めずに辞めてもうまくいく人生戦略 (角川書店単行本)」で、以下のように整理されています。
「ありたい自分」に接近するための社会との関わり方を選択して、社会復帰することでキャリアブレイクから卒業することになります。
キャリアブレイクの成功と失敗について
ここまで、キャリアブレイクのプロセスと入口〜出口のパターンを紹介してきました。
このパートではキャリアブレイクにおける「成功」と「失敗」について考えてみます。
結論から言うと、
「失敗」という概念よりは、「時間切れ」
という考え方が、実態に即しているのかなと思っています。
入口から見た成功と失敗
入口から見た場合には、それぞれのパターンと目的を紹介しました。
単純に考えると、上記の目的を達成したら成功で、達成しなかったら失敗といっていいでしょうか?
- 人生が安定した
- 心身がケアできた
- 感性が回復した
- 大志が実現した
うーん、なんかしっくりこない。。。
目的を達成したと判断することが難しいと思いませんか?同時に、LIFE型やPOWER型の場合はキャリアブレイクを卒業後も実現を目指して過ごしていくことになりそうですよね。
入口から見た場合には、成功や失敗と判断するのは難しそうなので、出口から見てみます。
出口から見た成功と失敗
出口から見た場合には、復職・転職・独立といった形で結果が明確なので、3つのどれかの結果が出ればキャリアブレイクは成功と言えるでしょうか?
自分の中で「納得感」を持てていたり「ありたい姿」に近づいていいると思えて、社会復帰できれば成功と言えそうです。
一方で、自分が望んだ年収や職業で、復職や転職、独立ができなかった。もしくは、「納得感」がなかったり、「ありたい姿」がわからないままに、社会復帰した場合は、またすぐに離職したり休職したりする可能性が高くなるため失敗と言えるかもしれません。
これらを踏まえると、自分が望んだ年収や職業で復職や転職ができなかった場合は失敗といえそうですが、復職、転職、独立といった客観的な出口の結果だけで成功なのか失敗なのかを判断することも難しいと言えます。
実は「失敗」ではなく「時間切れ」
入口からも出口からもキャリアブレイクが成功したか、失敗したかの判断が難しいということで、改めて定義から考えてみます。
定義から見た場合には、自分と社会を見つめなおして、自分が納得のいくキャリアの役割が見つかった時が成功と言えそうです。
逆に、見つめなおしたけれど、キャリアの役割が見つからなかった時が失敗と言えますが、これは「何らかの事情で見つけるまでのキャリアブレイクを続ける時間が取れなかった。」とも言えます。
「失敗」というよりも、キャリアブレイク期間の「時間切れ」と見るのが、良いのかなと考えています。
これは主に、キャリアブレイクを過ごす中で、金銭的・精神的なプレッシャーから仕事をせざる得ない状態で時間切れになるのかなと想像しています。
失敗(時間切れ)を防ぐために重要な3つのポイント
キャリアブレイクの時間切れを防ぐことを考えた場合、基本的なアプローチは2つしかありません。
時間を長く取るためには、キャリアブレイクを過ごせる貯蓄や資産を増やすか、生活費などを抑えることが必要です。
効率よくプロセスを進めるためには、自分や家族と向き合ったり、スキル・資格の取得、新しい価値観に触れるなどの自分探しの行動をすること。
最後、社会に再び戻る際の出口である復職や転職、独立はそれぞれに合わせたアプローチをすることで成功確率を高めることができます。
重要な3つのポイントについて、解説していきます。
1. キャリアブレイクできる期間と資産を把握する。
キャリアブレイクの期間は、生活費の把握と貯蓄、キャリアブレイク中に取り組む事の費用を見積もることでおおよそ把握できます。
他には、自身の貯蓄額と合わせて、国の制度(失業手当や傷病手当など)で支給される金額を見積もり、キャリアブレイクに使える期間を計算するというパターンもありです。
スキル・資格の取得の場合は、試験の時期などによって期間を定めやすいですが、「自分探し」に必要な期間を見積もることは難しいです。
一つの目安としては、休養期間で大体1ヶ月〜2ヶ月は必要だとすると、そこから自分探しをするための必要な期間を合わせると3ヶ月〜6ヶ月程度になるかと思います。
採用担当者100に聞いたアンケート結果で、6ヶ月以上の期間が空いていると気にすると言う企業の採用担当者が50%くらいになるので、6ヶ月を一旦の目安にしてみるといいかもしれません。
キャリアブレイクの「期間」や「お金」に関する記事も書いているので参考にしてください。
2. ありたい自分を探すための行動をする
「ありたい自分」を探すためには、まずしっかり休養をとって心身ともに回復する。
その後、自分が好きだったことや、やりたかったことを実際に体験するための行動をとる。
自分探しのためにどんなことをすればいいのかというのは、私が実際にキャリアブレイク中に過ごしてみて良かったことや、キャリアブレイク研究所がまとめた他の人の事例などを紹介している記事を書いているのでそちらをご覧ください。
キャリアブレイク中の過ごし方は基本的に自由で何をしても良いのですが、ゆっくりと自分を見つめなおすことができる貴重な機会として活用しましょう。
他にも、自分探しをするときにおすすめのキャリアコーチのサービスもあるので参考にしてください。
他者から見た自分というのも自分探しをする上で気づきを与えてくれます。
複数のサービスの無料体験を利用するのがオススメです!
3. 出口ごとに適切なアプローチを行う。
最終的には自分で起業する以外の場合には、復職するにしろ転職するにしろ就職活動が必要です。
その際に、キャリアブレイク期間は自分にとって必要な時間であったということをポジティブに伝えることができることが大切です。
キャリアブレイク中に新しいスキルや資格を得たり、自信を持って自分がやりたいことを見つめなおせたことを伝えられる人達は企業としても意欲が高い人に見えるので、望んだ職種や会社に再就職できる可能性が高いです。
復職の場合には、キャリアブレイクに入る前に自社のOB/OG制度やアルムナイ制度など、復職に関する制度を調べておくと、利用可能かどうかで復職の可能性を高めることができます。
また、キャリアブレイクには入る前に仕事の引き継ぎなどを丁寧にしておくことで、復職の際の気まずさなどを軽減できます。
転職の場合には、自身の市場価値などを診断するサービスを利用し市場価値を把握したり、転職エージェントや自分にあった職種などを紹介してくれる無料のサービスなどもあるので、積極的に利用しましょう。
よくある質問
- Qそもそもキャリアブレイクとは?
- A
一般的には、休職や離職など仕事やキャリアを「一時的に中断する」無職の期間を指します。
- Qキャリアブレイクの共通プロセスとは?
- A
書籍「キャリアブレイク — 手放すことは空白(ブランク)ではない」の中で、3つ段階と15個の項目に分けて紹介されているものです。記事の該当する項目に移る。
- Q無職の5段階とは何ですか?
- A
キャリアブレイク研究所から、キャリブレイク経験者が社会に戻るまでに経験した気持ちの変化をグラフで表したものです。
①解放期、②虚無期、③実は期、④現実期、⑤接続期の5つがあります。
キャリアブレイクに関連したよくある質問については下記の記事にまとめてあります。
まとめ
キャリアブレイクは、ゆっくりと自分を見つめなおすことができる貴重な機会です。
この記事で紹介したプロセスや失敗を防ぐためのポイントを参考に、あなたのキャリアブレイクライフが充実したものになることを願っています。
今回の記事はいかがでしたでしょうか?少しでもみなさんの参考になれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
参考になった、面白いと思った方はぜひコメントやシェアいただけると励みになります。
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