以前、キャリアブレイクを決断した理由の1つに、転職や再就職はなんとかなると思えたからという要素を書きました。
自分の定性的な感覚だけだと参考にしづらい部分もあると思い、皆さんの参考になるデータや根拠を持って転職や再就職の状況を伝えることができないかと考えていました。
そこで今回は、2024年9月に厚生労働省が発表した令和6年度版の労働経済白書から、日本の雇用・労働市場についてポイントを絞って紹介してみたいと思います。
令和6年版労働経済白書の結論を端的にまとめると、下記です。
少子高齢化の進展による労働不足から有効求人倍率が1を超えている状態のため、転職や再就職市場の現状を冷静に見ていくと、これまで以上に再就職のチャンスが広がっていることが分かります。
この記事を読むことで、今後のキャリアの選択肢、転職やキャリアブレイク後の再就職に対しての考え方のヒントを提供できればと思います。
1. 労働市場(雇用)の現状と全体的な傾向
令和6年度版労働経済白書の冒頭でこのような記載があります。
雇用情勢は、経済社会活動が正常化に向かう中で、求人が底堅く推移し、改善の動きがみられた。求人の回復基調に落ち着きがみられたものの、女性や高齢者を中心に労働参加が着実に進展していることに加え、より良い条件を求める転職も活発になった。ただし、少子高齢化に起因する我が国の労働力供給制約がある中、経済社会活動の回復等に伴う人手不足の問題も再び顕在化している。
皆さんもご存知のとおり、少子高齢化が進行しているため、労働力の供給が不足していて、人手不足が継続しているという状況です。
数字で見ると、2023年は有効求人倍率は1.31倍(前年比:+0.03ポイント)、完全失業率は2.6%(前年比:横ばい)です。有効求人倍率は1よりも大きくなればなるほど求人に対して応募が不足した状態なので、企業としては人材の確保が難しい、労働者としては職が得やすい状況ということになります。完全失業率が3%程度だと「完全雇用」といわれており、失業者がほとんどいないという状態とされています。
まとめると、日本の労働市場における雇用情勢は、有効求人倍率が1を超えていて、完全失業率が3%を下回っている完全雇用状態を達成していることから、人手不足の状態で、労働者は職を得やすい環境にあると言えます。
有効求人倍率や完全失業率ってなんとなくはわかるけど、ちゃんと理解できていないかも。。。
不安な方へ参考までにそれぞれの数値の定義や算出方法を紹介しておくよ。
2. 労働市場の過去との比較
このグラフは労働経済白書で紹介されている過去からの求人倍率と完全失業率の推移のグラフに、求人倍率が1を超えているかどうかと、完全失業率が3%をまたいだのか、どうかをわかりやすくするために線と星印を追加したものです。
有効求人倍率(黒線)は、2013年10月以降10年間ずっと1を超えている状態なのがわかります。完全失業率(緑線)は2009年7月を境に右肩下がりで、2016年7月頃に完全雇用状態である3%に到達、以降は2%台をキープしていましたが、2020年のCOVID-19パンデミックの影響により、2020年7月に3%をわずかに超えましたが、2021年には再び、3%を下回り、完全雇用状態が維持されています。
過去と比較してみても、現在の有効求人倍率と完全失業率の数字を見る限りでは、何らかの職を得ることは十分可能と考えることができます。
3. 転職市場の動向
転職者数は2023年度で328万人で、経済の正常化とともに、リモートワークやフレキシブルな働き方が普及し、労働者がより良い条件を求めて転職する傾向が強まっています。
また、人手不足の状況を解消するために、再就職においては、特に高齢者や女性が重要なターゲット層となっています。企業側も柔軟な雇用形態を採用することで、多様な人材の採用を進めており、再就職市場は今後も拡大していく見通しです。一方で、日本型雇用慣行の下で特に大企業における年功賃金がみられる日本では、同じ企業に勤め続けた方が、転職又は一時的なキャリアの中断後の再就職よりも、賃金が高くなる傾向にある点は留意が必要です。
まとめ
令和6年版労働経済白書について、雇用と転職、再就職にポイントを当てて、紹介しました。
データを見ると、転職や再就職に対しての不安が少し軽減したのではないでしょうか?皆さんの、今後のキャリアの選択肢や転職、キャリアブレイク後の再就職に対してのヒントになれば幸いです。
今回の記事はいかがでしたでしょうか?少しでもみなさんの参考になれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
参考になった、もっと詳細に解説してほしいと思った方はぜひコメントやシェアいただけると励みになります。
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